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れいばんサンのひとりごと

戦争を知らずに〜♪ ゲゲゲって、これでいいんですよ

偉大な人物というものが、何者を指すのかは人それぞれの解釈に委ねられるところではある。
ただ、少なくとも現代を生きるある一定の年齢層に対して様々な影響を与えられた御仁が、別の世界に旅立たれた。
御年は90を超えていたものの、決して大往生と思いたくないのは筆者のみではないであろう。
お化けは死なないと、愉快に自身の作品のテーマソングに書き記した「偉大なる人物」は
恐らくは、生きることは最も尊大なこととし、生物に与えられた宿命に抗いながら筆を取り続けてこられた。
妖怪をキャラクターとして具現化し、子どもから大人の心の中にまで浸透させたその偉大なる功績は
今更、この場において声を大にして語るまでも無い。
その御仁の偉大なる功績は、まだほかにある。
ラバウルという南洋の地。
その名を聞いたことはあっても、それがどこに存在しているのか判然としない者も多いであろう。

70年前、この地で起きた出来事を、自らの視点から淡々と描かれた作品「ラバウル戦記」。
戦争という歴史的汚点をダイレクトに伝えてくれる大いなる解説本であると言っても過言ではないだろう。
歴史的汚点と書いた。
まさに「歴史的」である。
70年に及ぶ平和を一見維持してきたこの時間的流れが、汚点を歴史に置き換えてくれたのである。
戦後の大きな安全保障の転換と謳われ、法案に反対する人々が若者も含めて多数、国権の機関を取り囲んだ。
その出来事が、70年という日々を経た今年だったことも、なんとも因果を感じる。
節目とかキリ番と言った俗な解釈も要素として重要ではあるが、それよりも何よりも
70年という長い年月を経てなお、戦争に対する忌みと平和意識を続けてこられたことに、感謝の念が絶えない。

人間の無力さを痛感させられる自然の大いなる力が、今年も関東地方を襲った。
すぐに、復旧や復興のために尽力した人たちには、心底、脱帽と尊敬の念を隠し得ない。
不可抗力に対する抗力の気持ちを伴う行動力には感服する。
一方で、不可避ではない行動を推し進める力には、多くの人たちが疑念を持ったところである。
後年、2015年という年は、多くの人たちが様々なことに大いなる行動を起こした、と振り返られるのかもしれない。
人々の行動が、大きなうねりとなり揺れ動く様に対して、恐怖を感じるのは70年前も今も変わらない。
だとすれば、不可抗力に抗う「一丸」の方に、尊厳を持って臨むのは平和な世の常ではないか。

戦争で生き延びた自分の宿命は、南洋で一緒に生きた仲間の分まで、少しでも長く生き続けること。
そう、偉人は語っていたと記憶している。
70年を経て、悪書と呼ばれた漫画は、今ではこの国が誇る世界的文化のひとつに発展した。
この尊き作品を産んできたのは、まさに「平和」そのものではなかろうか。

偉人は生前、「今の日本の現状をどのように見るか?」とのインタビューにこう答えている。
「これでいいんじゃないですか。
 締め付けめいたことや忠告めいたことを言ってもダメですよ。自然のままでいい。
 方向を決めても大したことはない。戦争中は聖なる目的で命がけで驀進したけど、このざまです。
 あんなに努力して、金をかけ、命まで投げ出して負け、幸せにはなれなかった。
 あれほどばかばかしいことはない。
 みな口には出さないけれど、戦争のばかばかしさは今も日本国民に染みついていますよ」

今年も1年、我々は野球ができたことに喜びを感じるでもなく、常態化し続けることを望む。
戦争を知らない子供という概念ではなく、戦争そのものが何なのかも理解できない世の中がくることを望む。
何も考えずに、きょうも野球ができたことを普通として、これでいいんじゃないですか、と言い続けていたいものである。

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