■ 出だしこそ振るわなかったものの
【写真】助っ人として初参戦した三上
2013年は逸材の宝庫だった。しかしそれは後に語られることになる。
その年、三上は決して目立った選手ではなかった。7月28日、レイバンス戦士たちは、所属する東京バトルリーグ(当時)の記念大会=1部〜3部全チームが参加するトーナメント戦に参戦するため江戸川区球場に降り立っていた。会場はスタジアム。いつもにも増してハイテンションの選手たちに混じり、三上は助っ人として参加していたのだ。真夏の熱戦。レイバンスは強豪相手に惨憺たる結果で土を舐めた。選手層は決して薄くはなかった。新エースとして活躍を魅せていた山田や豪打の谷田、清水、攻守に魅せる新津や吉田も参戦していた。
敵わぬ相手であったのは確かだ。そんななかで一矢報いたい三上であったが、他の選手たち同様に本領を発揮できず結果は2打数ノーヒット。三塁手として座った守備も振るわず、涙を飲んで球場をあとにした。
■ リベンジの空の下に闘志を着て
三上が再びチームと合流したのは、季節が真逆となった11月24日。いわくの江戸川区球場に「リベンジ」助っ人として舞い降りたのだ。この日はチームにとってもまさにリベンジ。東京バトルリーグ2部の優勝決定戦の場で、相手は7月に負けたBlackRainbowだった。「ここまで来たら気楽に行こう」。選手たちはスタジアムに変な興奮をすることもなく、そして気負いもなく臨んだ。三上も、内に秘めた闘志を真夏の如く燃やし正式メンバーに混じってベンチに座った。
明らかに前回とは違う。緊張に緊張を重ね着していた7月からベールを脱ぎ捨て、与えられたサードのポジションを守り抜いた。相変わらずの強豪相手に打撃こそ火を吹かなかったが、デッドボールで出塁した後すかさず盗塁。後に伝説を作る「足」を、この頃から早くも球場に詰めかけたファンに披露していた。
様々な思いを乗せて臨んだ特別な試合でレイバンスは見事サヨナラ勝利。前回試合で、自身への不甲斐なさからチームとの接点を拒んだ三上も、改めて球団からの誘いを受け正式入団を決意した。
明らかに前回とは違う。緊張に緊張を重ね着していた7月からベールを脱ぎ捨て、与えられたサードのポジションを守り抜いた。相変わらずの強豪相手に打撃こそ火を吹かなかったが、デッドボールで出塁した後すかさず盗塁。後に伝説を作る「足」を、この頃から早くも球場に詰めかけたファンに披露していた。
様々な思いを乗せて臨んだ特別な試合でレイバンスは見事サヨナラ勝利。前回試合で、自身への不甲斐なさからチームとの接点を拒んだ三上も、改めて球団からの誘いを受け正式入団を決意した。
【写真】仲間と優勝を喜ぶ三上(右から2番目)
■ 走攻守の三種を手にする選手に成長
【写真】初試合でヒットを放つ三上
2013年1月26日、早速オープン戦から参加した三上はその背番号を「8」に決める。そして3月16日、伝説の始まりとなる開幕戦で早速チーム初打点を叩き出し、4打数2安打2盗塁を記録するなど上々の立ち上がりを魅せた。その後も勢いは止まらない。続く2試合目でも打点をマークするなど活躍。その年、打率3割1分8厘・本塁打1本・打点8の好成績を残し見事新人王に輝いた。
そこからの活躍は言うに及ばず。初年度の3割1分は序の口で、あとは右肩上がりに成績を伸ばし、2020年はついに4割3分8厘を記録して4度目のMVPに輝いた。
ただ、真骨頂はそれだけではない。正式入団2年目となった2015年、驚くべき記録を打ち立てる。盗塁「34」。もちろんそれまでの球団新記録であり、その後も誰も触れていない(2021年終了時現在)。ただ、本当に驚くべきは、三上が出場した試合数が25試合だったこと。なんと出場した試合の数を大きく上回る盗塁を記録。1試合2盗塁も珍しくない勢いで走り抜けたのだ。
そこからの活躍は言うに及ばず。初年度の3割1分は序の口で、あとは右肩上がりに成績を伸ばし、2020年はついに4割3分8厘を記録して4度目のMVPに輝いた。
ただ、真骨頂はそれだけではない。正式入団2年目となった2015年、驚くべき記録を打ち立てる。盗塁「34」。もちろんそれまでの球団新記録であり、その後も誰も触れていない(2021年終了時現在)。ただ、本当に驚くべきは、三上が出場した試合数が25試合だったこと。なんと出場した試合の数を大きく上回る盗塁を記録。1試合2盗塁も珍しくない勢いで走り抜けたのだ。
■ 日々の努力の成果が究極の選球眼を生む
まさにタイトルフォルダーの名を恣に活躍をし続ける三上。2014年に新人王を獲得して以来、1度も賞を獲っていない年はない(2021年季終了時点)。そして2018年に初のMVPに輝いてから2020年まで4年連続のMVP選手となった。一方でただのタイトルフォルダーではなく、出場数もチーム首位クラス。比較的試合数の少なかった2017年を除いて、全て20試合以上に参加する大功労者だ。内野から外野に転向してさらに守備力もアップ。次々に美技を生み出し、ボールとともに球場のファンの心もガッチリとキャッチしている。
素晴らしい記録の裏には努力がある。3割を切らない打率やホームランを連発するパワーの一方で三振が極端に少なく、2021年まで1シーズンに2桁を超えたことがない。そしてもちろん四死球選択も多い。ボールをしっかり見るチカラを養うために日々のトレーニングを欠かさないのだ。
素晴らしい成績と、そして素晴らしい出席率。チームへの貢献を高く評価し、球団は2021年、三上に9人目の殿堂入りを発表した。
【写真】初出場当時の三上
■ 数々のトロフィーとともに歩む
【写真】獲得した歴代トロフィーたち
試合後はいつも自身のプレーを反省する。謙虚な男は常に次回の試合で高みを見る。チーム愛に満ちた眼差しで殿堂入りについてこう語る。
「これからも自分を拾ってくれたチームのために、どんなにユニフォームがボロボロになっても泥臭く泥だらけになってプレーしていきたいとおもいます!」
今後の更なる活躍に期待する。
「これからも自分を拾ってくれたチームのために、どんなにユニフォームがボロボロになっても泥臭く泥だらけになってプレーしていきたいとおもいます!」
今後の更なる活躍に期待する。